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2009.07.10 (Fri)

コンサート観賞記録

5月から6月にかけてコンサートラッシュでした。
とはいったものの同じ演奏家のコンサートに何度も出かけたりしたので、
4名のピアニストしか聴いていないことになりますが・・・

忘れないうちに日付の近いうちからプログラムと一言メモを添えておこうと思います。


2009年7月8日(水) 東京オペラシティ コンサートホール
アレクサンダー・ガヴリリュク ピアノリサイタル


ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番 c-moll Op.13 「悲愴」

ショパン:ポロネーズ A-dur Op.40-1
      即興曲 As-dur Op.29
      夜想曲 Des-dur Op.27-1

リスト:メフィストワルツ第1番

~休憩~

ストラヴィンスキー:ペトルーシュカより3つの楽章

ラフマニノフ:10の前奏曲 Op.23より第1番、2番、5番、6番、7番

ビゼー/ホロヴィッツ編:カルメン変奏曲

《アンコール》

モーツァルト:ロンド D-dur K485

モーツァルト/ヴォロドス編:トルコ行進曲

ラフマニノフ:楽興の時より第3番

メンデルスゾーン/リスト/ホロヴィッツ編:結婚行進曲


3F席正面一番後ろ左寄りの席にて観賞。
凄いプログラムでした。
ペトルーシュカだけでも相当大変なのに、アンコールでは超超絶技巧曲を二曲!
これは僕も大好きな編曲作品でいつの日か家のピアノだけでも弾きたいと思っている曲です。
これらの超難曲を技巧的な困難さをはるか高い次元で超えて表現仕切る彼の才能に感服いたしました。
完全に脱力した腕と体をしなやかに使い難所をいとも簡単に弾いていく・・・こんな風に弾けたら楽しいだろうなと思います。
リーズナブルにたくさんの曲を高いレヴェルで堪能でき大満足な夜でした。



6月20日(土) 所沢ミューズ アークホール
クリスティアン・ツィメルマン ピアノリサイタル


バッハ:パルティータ第2番

ベートーヴェン:ピアノソナタ第32番 c-moll Op.111

~休憩~

ブラームス:4つの小品 Op.119

シマノフスキ:ポーランド民謡の主題による変奏曲 Op.10


1F中央第2ブロック、ほぼど真ん中にて観賞。
相変わらず徹底してサウンドにこだわっており大変美しい。
全ての音があるべき姿で完ぺきに計算されたタッチで打ち出されている。
それを不自然と感じさせないのがツィメルマンの凄さだと思います。
50歳を超えても衰えを見せないテクニックは素晴らしいの一言。
ラストのシマノフスキは圧巻でした。彼の祖国への強い思いをしっかり感じ取ることができました。


6月18日(木) 松戸森のホール21 小ホール
アリス=紗良・オット ピアノリサイタル


ベートーヴェン:ピアノソナタ第21番 C-dur Op.53 「ワルトシュタイン」

~休憩~

ショパン:5つのワルツ Op.34-1,2.3 Op.64-1,2

リスト:「超絶技巧練習曲集」より第9番「回想」、第10番

《アンコール》

ショパン:ワルツ(遺作) a-moll

リスト:ラ・カンパネラ


以前BS放送でカンパネラの演奏を見て気になっていた彼女が近くのホールに来るとのことで、
ホールの下見も兼ねて(笑)行ってきました。
1F席最後列中央にて観賞。
特にリストの超絶技巧練習曲がCDも出していることもあり、彼女の感じる明確なイメージが伝わってきました。
アンコールのショパンは亡くなった御祖母様に捧げるとのトークもあって、思わずもらい泣きしてしまいました・・・(目が潤んだ程度ですが、年を取ったものです。。。^^;)
カンパネラもまた見事なものでした。


6月10日(水) サントリーホール 大ホール
クリスティアン・ツィメルマン ピアノリサイタル


J.S.バッハ:パルティータ第2番

ベートーヴェン:ピアノソナタ第32番 c-moll Op.111

~休憩~

バツェヴィチ:ピアノソナタ第2番

シマノフスキ:ポーランド民謡による変奏曲


P席という舞台の裏側の安い席(それでも6000円しますが)にて観賞。
音はやはりこっちには飛んできませんでしたが、手がよく見える位置だったので手の使い方のお勉強をしてきました。笑

やはりシマノフスキの印象が強いです。哀愁漂うh-mollの主題で涙が出そうになりました。
バツェヴィチは切れ味鋭いタッチが冴えわたり会場が沸きました。
前半の重厚なドイツ曲も素晴らしい。特にベートーヴェンの終楽章はツィメルマンならではの最上質のトリルが、この世は思えないほどの浄化された空間を作り上げていました。



6月7日(日) 桜美林大学 荊冠堂(チャペル)
クシシュトフ・ヤブウォンスキ ピアノリサイタル
ショパン グレイテスト ヒッツ



ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番 c-moll Op.13 「悲愴」

ショパン:練習曲 e-dur Op.10-3 「別れの曲」
      練習曲 c-moll Op.10-12 「革命」
      ポロネーズ As-dur Op.53 「英雄」
      アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Es-dur Op.22

《アンコール》

ショパン:マズルカ g-moll Op.24-1
      ノクターン遺作「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」


桜美林大学のお洒落でモダンなチャペルでヤブロンスキ先生のコンサート(なんと無料!!)。
ポロネーズの2曲はショパンアカデミー大ホールで聴いて以来なのでとても楽しみにしていました。
堂々としたテンポで雄大な英雄ポロネーズ、高音部の鮮やかなパッセージが美しいOp.22。
エキエル版に基づくショパンエチュード全曲のCDを出されているだけあって別れの曲の少々違和感のある音も自然に聴かせてくれました。6度の連続和音も高速で完ぺきでした。。。
演奏後にインタヴューもあり、先生のお茶目なキャラでさらにファンが増えたことと思います。


6月1日(月) 武蔵ホール
クシシュトフ・ヤブウォンスキ ピアノリサイタル


ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番 c-moll Op.13 「悲愴」

ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番 cis-moll Op.27-2 「月光」

~休憩~

ショパン:24の前奏曲 Op.28

《アンコール》

ショパン:バラード第1番 g-moll Op.23
      練習曲 Ges-dur Op.10-5 「黒鍵」


150人程度の小規模なホールでのヤブウォンスキ先生のコンサート。
演奏者の息遣いまでも感じられそうなほどピアノに近い位置まで椅子が接近してました。笑
ピアノはベヒシュタインのフルコンサートグランド。2階席にて観賞。
プログラムは先日の津田ホールでのコンサートと同一でしたが、ピアノや環境がまったく違うので、また新鮮に聞こえました。
恐らくベヒシュタインはタッチが重いというか、戻る力が強いのでショパンの軽やかなパッセージを弾くのは簡単ではないと思うのですが、先生の強靭なタッチではそんなものは一切関係ないようでした。笑
どんなピアノでも最高のパフォーマンスをするというプロ魂を感じました。
コンサートプログラムはとても重厚なものでしたが、ホールの雰囲気から欧州のサロンコンサートを思わせるようなアットホームな雰囲気で楽しめました。
後半は写真もOKとのことでしたので(演奏中はNGですが)、後日またアップしたいと思います。





ピアノのコンサートへ出かけると、どうしても職業柄というか、貧乏根性から、そこから何か得ようという意識が働き、純粋に音楽に浸るというよりは、勉強しに行くという感覚になってしまうのが悲しい性かなと思う今日この頃でした。そして本当に色々なことを得られるのでやめられません。(苦笑)
しばらくはコンサート行脚もお休み。夜は自分の練習に切り替えたいと思います。

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2008.07.09 (Wed)

憧れの存在

少し前になってしまいましたが、6月27日にトッパンホールで行われたクシシュトフ・ヤブウォンスキ先生のコンサートに行って参りました。

≪プログラム≫

J.S.バッハ=ブゾーニ:コラール“来たれ異教徒の救い主よ”
ハイドン:ピアノソナタ第20番 c-moll Hob.ⅩⅥ/20
ベートーヴェン:ピアノソナタ第23番 f-moll,Op.57 『熱情』

ショパン:スケルツォ第2番 b-moll,Op.31
ショパン:ピアノソナタ第3番 h-moll,Op.58

アンコール
ショパン:ノクターン(遺作) cis-moll
       エチュード c-moll,Op.10-12『革命』
      ワルツ a-moll,Op.34-2
      エチュード Ges-dur,Op.10-5『黒鍵』



『感動』の一言に尽きます。
ピアノを完全に「マスター」した驚異的なテクニックを全面的に見せつけるわけではなく、あくまでも作曲者が意図したものを表現するための手段として利用し、その曲が求めるものを全て汲み取り聴衆に訴えかけ、自然とそれが聴き手の心にも深く浸透していく・・・
音楽ファンにとってはまさに至福の時だったと思います。
改めてこのような偉大な先生にポーランドで師事していたことを誇りに思うと共に、先生に教えて頂いたことを思い出して(ショパンの3番ソナタ等)じっくり音楽と向き合っていこうと思いました。

with Prof.Jablonski

相変わらずお茶目な先生と2ショットでパチリ。

     
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2007.06.30 (Sat)

刺激的なコンサートの数々

先日お知らせした日本とポーランドの二人の師匠のコンサートに行ってきました。また、16日には2005年ショパンコンクール優勝者ラファウ・ブレハッチの演奏会に行ってきました。

ブレハッチ氏の演奏はワルシャワで行われたショパン・コンクールの本選で聴いた以来です。
今回のコンサートでは特にリストの演奏会用エテュード「小人の踊り」などが印象的で細かいパッセージでの指捌きが素晴らしく器用なのがよくわかりました。ショパンのプレリュードは後半のみでしたが22歳の若者とは思えない安定感でした。どうせなら1曲目から全曲聴きたかったというのが本音です。(笑)

また少しさかのぼりますが、5月22日に木村徹師匠の弾かれた幻想ポロネーズ、シマノフスキの仮面劇は感動ものでした。幻想ポロネーズについては以前から先生と何度か討論したことがあり、そのときの先生の主張が貫かれた説得力のある演奏でした。弱音の音色が特に美しいです。また、仮面劇での色彩豊かで、曲の特徴をよく捉えた表現は圧巻でした。無調気味の曲なので、ロマンティックな曲で涙を流すのとはまた違う感動を覚えました。後半の太田先生との2台ピアノもとても面白かったです。

そして6月20日にはクシシュトフ・ヤブウォンスキ氏のリサイタルがありました。
ワルシャワで最後にお会いして以来、約10ヶ月ぶりに日本で演奏が聴けること自体かなり幸せなことです。スケルツォ1番は少々緊張気味な様子でしたが2番からは本領発揮、3番は大きな手を活かしたオクターヴが冴え渡り、4番は中間部での長いフレージングが印象的でした。後半はイスラメイがリストのリゴレットパラフレーズに変更になっていましたが、とにかくオクターヴの技術が凄すぎます。ラフマニノフ、スクリアビンともに哀愁を帯びた空気が漂い、迫力の必要な場面では文句なく音が溢れています。ワルシャワで受けた毎回感動のレッスンで見本を示して頂いた頃の映像が重なり本当に胸が一杯になりました。ラストのスペイン狂詩曲も大変な難曲ですが、難曲を難しそうに弾かない、曲があるべき姿(民族的なリズム・フレーズなど)を徹底的に追求した究極の演奏だと思いました。アンコールではショパンのバラード1番まで弾いて下さり本当に素晴らしいコンサートでした。

実はこのコンサートには木村徹先生もいらっしゃっていました。木村先生はヤブウォンスキ先生の生演奏をお聴きになったのは初めてだったそうですが、大変満足されたようで、演奏会後の歓談の場でヤブォンスキ先生に向かって「あなたのような偉大なピアニストに習えて彼(僕)は幸せだと思います。」と仰り、僕も続けて「僕もそう思います」と言ったところ、ヤブウォンスキ先生は大爆笑されておりました。(笑)

このコンサートの後には木村先生と数年ぶりの御食事をしました。またヤブウォンスキ先生も地獄のスケジュールの中貴重な時間を割いて下さり、90分ほどお話をさせて頂きました。
両先生から演奏家としての心得、日常の練習等について、今までの「先生と生徒」という関係よりは、「演奏仲間」に近い感覚でお話をして下さいました。もちろん音楽の話ばかりではなく雑談からジョークまで話題は尽きないのですが・・・(笑)
僕にとっては本当に貴重なアドヴァイスを頂いてお二人にはただひたすら感謝です。お二人を一生涯尊敬の念をもって慕い続けることをは間違いありません。自分も一歩でも近づくために日々精進することを心に誓いました。


Yuma & Prof.Jablonski

↑Jabłoński先生との2ショット
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2007.02.10 (Sat)

Leif Ove Andsnes Piano Recital

もう一昨日になってしまいますが、ノルウェー出身で人気急上昇中のピアニスト、レイフ・オヴェ・アンスネスのリサイタル(2007.2.8 19:00開演)をオペラシティのコンサートホールで聴いてきました。

Andsnes


彼の演奏はバルトークのピアノコンチェルト2番のCDでしか聴いたことなかったのですが(1番はツィメルマンが担当)、CDの印象でセンスが非常に良さそうだったので生で聴いてみたいピアニストの1人でした。

プログラムは以下の通り。

前半

グリーグ:ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード g-moll,Op.24

シューマン:4つの作品 Op.32
        第1曲 スケルツォ
        第2曲 ジーグ
        第3曲 ロマンス
        第4曲 フゲッタ

ベートーヴェン:ピアノソナタ第32番 c-moll,Op.111

後半

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」


このプログラムを見て僕の目的がお分かりの方も多いかと思いますが・・・(笑)

今回の座席は、よく言えば音響重視、悪く言えば様子見ということで一番安い3階席の左側です。二列目だったので思いのほか見辛い・・・
しかも左隣が一見書道家風の白髪まじりのおじさま。一瞬嫌な予感がしましたが、もしかしたら音楽界の大御所かも知れないということで気にしないことにしました。
客の入りはまだそこまで知名度が高くないのか、全体的にステージに向かって右側は空席が目立ちましたが、トータルで見れば8割くらいは入っていたかもしれません。

そんなこんなでアンスネス御本人の登場です。北欧出身ということでやはり背は高め。さわやかな笑顔で弾く前から好印象です。

まずはグリーグのバラード。初めて聴く曲ですが彼の端正な音の出し方が、ロマンティックであるけどどこか冷たい北欧独特の空気と非常にマッチしている気がしました。
弾き始めて5分くらい経ったあたりでしょうか。
左から

「ぐ~、ぐ~~・・・」

と聞こえてきました。

『やっぱり・・・しかも1曲目から・・・

嫌な予感が的中です。左にいたおじさまはクラシックの大家ではなさそうでした。ここからはとにかくイビキの音量が増幅しないことを祈るのみでした。


話は戻ってマイナーなこの曲、何気に最後の方は難しそうです。しかし彼の弾き方は非常に無駄が無く、体もほとんど動かしません。難所もあっさり弾いてのけておりました。非常に冷静な印象。時計を見ると既に19時半過ぎ。長い曲だ・・・
続いてのシューマンもマイナーな曲。マイナーながらもシューマン独特のリズム・和声使いが随所に見られました。一瞬「クライスレリアーナ」を思い出すような箇所も。ルバートも控えめで僕好みです。

2曲聴いた時点で率直に「上手い!」。

続いてベートーヴェンの最後のピアノソナタです。
これも予想通り正統派の演奏。無駄なルバートが一切ありません。細かい音符もよく粒がそろっており非常に丁寧です。弱音も美しい。2楽章の弱音トリルも上手い!!そのまま天国に召されるかと思いました。
前半終了の時点でブラヴォーの声が上がります。個人的にももう大満足してしまい、危うく帰ってしまうところでした。

なんていうのは冗談ですが、後半は僕の一番の目的でもあった「展覧会の絵」です。

まずは「プロムナード」。落ち着いたテンポ、メゾフォルテくらいで弾き始めます。アーティキュレーションも面白い。

しかし、少し進んだ時点で違和感を覚えます。プログラムには何も書いていなかったので当然原典版使用だと勝手に思い込んでいましたが「原典版でこんなに左手の和音が分厚かったっけ??」と疑問に思うようになります。

その疑問が解決するには時間はかかりませんでした。プロムナードのコーダ直前の「ソ~ファ~」の両手のオクターヴをそれぞれ1オクターヴ上で高らかに歌い上げるのは、そう、あの超絶「ホロヴィッツ版」しかありません。
これは嬉しい誤算でした。(笑)真面目そうなアンスネス氏がお祭り騒ぎを起こすホロヴィッツ版で弾いてくれるとはこの後もますます楽しみになります。

続く「地底の小人」は8割方がホロヴィッツ版採用という感じでしょうか。ホロヴィッツほどの破壊的な爆音は使用せず、あくまでも全てをコントロールした印象です。
その後もホロヴィッツ版6割、原典版4割程度の配合で織り交ぜていました。どこを原典版で、どこをホロヴィッツ版で、どこをどちらでもなくアンスネス版で弾いたのか全て解説していたらキリが無いので省かせて頂きます。詳細に知りたい方は個人的に口頭で説明させて頂きます。(笑)

演奏レヴェルとしては文句のつけようのない高い完成度でブラヴォーが出て当然でした。
しかし個人的には「下品な」ホロヴィッツ版で弾くのであれば、それに徹底してもうちょっと羽目を外して欲しかったというのが正直なところでしょうか。(ここでいう「下品」は肯定的な意味です。)
キエフの大門の途中やコーダ部分の「アンスネス版」とも言えるアレンジも和声処理の平凡さに若干の不満が残りました。アレンジ能力ではホロヴィッツやシフラ、ヴォロドスの方が上なのは確実なようです。
遠い席で聞いたせいもあり彼のその冷静さが妨げとなって彼の音楽に100%没頭できない自分が居ました。

でもこれは演奏路線の問題でアンスネス氏に求めても仕方ないということですね。近くの席で聴いたらまた印象が違ったかも知れません。アンスネス氏がホロヴィッツを好んでいるとわかっただけでも大きな収穫といえます。(笑)

ブラヴォーの連発と大きな拍手は鳴り止まずアンコールへ突入。

モンポウ:湖

リスト:即興的ワルツ

グリーグ:抒情小品集第1集op.12より
      6.ノルウェーの旋律
      5.民謡


どれも絶品でしたが中でも好きだったのがリストの即興的ワルツです。細かい音符がキラキラしていてリズム感も素晴らしい。幸せな気分になれました。

終演後のホール前には長~い列が・・・
ヴォロドスの時同様、また全員にサインして腕痛めないのかなーなんて心配しながら、自分も少し欲しいのは我慢して会場を後にしました。(笑)

アンスネス氏も僕のお気に入りピアニストに追加決定です。
数年前の自分だったら確実に狂信者になってしまっていると思うほど素晴らしいピアニストだと思いましたが、自分の好みも変わるものなんだなーとしみじみ感じました。
そして手が大きいピアニストは羨ましいと毎度のように思うのでした。
(彼はド-ミ♭-ソ-ミ♭の和音を余裕で掴んでいます。ド♯-ミ♯は届かないようなのでホロヴィッツよりは小さいようです。)

今度はアンスネスのショパンやラフマニノフを聴いてみたいです!!

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2006.12.10 (Sun)

アルカディ・ヴォロドス ピアノリサイタル@彩の国さいたま芸術劇場

12月9日(土)雨 最高気温7度・・・
寒い!!こんな悪条件の中、僕の大好きなピアニストの1人であるアルカディ・ヴォロドス(Arcadi Volodos)を聴いてきました。


Arcadi Volodos



このリサイタルは中村紘子氏が音楽監督を務めるTHE 100 PIANISTSというシリーズの98人目としてヴォロドスが招聘されたようで、最初に中村紘子氏のトークで始まりました。

中村女史の「ヴォロドスさんはようやく時差ボケが取れて絶好調らしいです。」「有名なトルコ行進曲のヴォロドス編より凄いものが聴けるかも」という言葉に客席からもどよめきと、期待の声が上がりました。

プログラムは、
前半が、
シューベルト:楽興の時、Op.94 D.780より第1曲、第2曲、第5曲
         ピアノソナタ第11番へ短調、D.625


後半が、
リスト:『巡礼の年 第1年 スイス』より「オーベルマンの谷」
     『巡礼の年 第2年 イタリア』より「物思いに沈む人」
     『2つの伝説』より「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」
     『詩的で宗教的な調べ』より「葬送」


でした。
話は前後しますが、僕がこのピアニストを最初に知ったのは数年前、まさにその有名なトルコ行進曲の映像を見たときに度肝を抜かれ、その後いくつかCDを購入したのですが、実は初めて生で聴いたのは丁度1年位前、去年の11月のワルシャワでのリサイタルででした。
その時のプログラムも前半シューベルト、後半リストで、約半分が今回と同じプログラムだったのですが、プログラム最後のハンガリー狂詩曲13番のヴォロドス編を弾き終えた時点で既に会場は半狂乱状態、その後アンコールでもヴォロドスはエンジン全開のお祭り状態で、観客ももうただただ笑うしかなく、全員スタンディングオヴェイションのとんでもないリサイタルを聴いてしまったのです。

1年ぶりのヴォロドスとの再会!!

期待に胸が高鳴る中、ヴォロドスが入場します。
去年と変わらず風船のようなお腹は健在。去年のほうが太っていたように見えました。(笑)

前半のシューベルトはまったく無駄の無い正当派の音楽でした。
ワルシャワ公演と同様、特に弱音で魅せてくれました。
本当にかすかな音のpppまで見事なコントロールと集中力で観客を惹きつけます。
そして地味に弾きにくいシューベルトの瞬間的な跳躍も相変わらずお見事!
ソナタに入るとヴォロドスもリラックスしてきたのかピアノも大分鳴り出してきて音の幅が一気に広がります。
終楽章の難所もなんのその。かといって技巧を必要以上に見せることはなく非常に好感が持てます。
前半はやはり弱音がとにかく美しかったです。歌い方も上手い!!
前半終了の時点で早くもブラヴォーの声があがりました。

そしてメインともいえるオールリストの後半に突入。

まずは「オーベルマンの谷」・・・

僕はこの曲を弾いたことがないのですが、ワルシャワ公演のときから疑問に思ってたので今回はより念入りに聞いてみると。。。

やはり後半から原曲と違う!!(笑)

明らかに恐ろしく難しいパッセージやらオクターヴの激しい連打、中間声部で歌いつつピアノの最上部と最下部で伴奏(1人3役)の大爆発・・・
どうもホロヴィッツが編曲したものが元になっているようですが、ヴォロドス自身もアレンジしていると思われます。

いきなりやってくれたか~と思いつつ、「物思いに沈む人」では静寂を取り戻します。

「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」は弱音ペダルに乗せたトリルがきらきら美しい。本当に小鳥がさえずっているような錯覚に陥りそうでした。

そして最後の「葬送」・・・
出だしは大胆にも1つのペダルで10数小節伸ばしっぱなしにしていました。それがホールの残響と見事に溶け合って非常に効果的でセンスの良さが光ります。
リストの「葬送」といえば思い出されるのが、中間部の左手の連続オクターヴが難所として有名ですが、ヴォロドスは待ってましたとばかりに全開モードに突入!
ただし変にアチェルランド(だんだん速くする)したりするのではなく、一定の速めのテンポを保ちつつ両手のオクターヴの跳躍も減速することなく頂点まで一気に突き進みます。
そこからのテーマの行進はとにかくスケールが大きい!
終結部も徐々に残響を消していくペダリング等、細部までのこだわり、そして何よりリストへの敬意が感じられる素晴らしい演奏でした。

お待ちかねのアンコールは・・・

1.リスト:ノクターン「夢の中に」
2.J.S.バッハ=リスト編「泣き、嘆き、憂い、おののき」による前奏曲
3.リスト=ホロヴィッツ=ヴォロドス編:ハンガリー狂詩曲第15番「ラコッツィ行進曲」
4.スクリアビン:「舞い踊る愛撫」Op.57-2
5.マルチェッロ=バッハ編 :オーボエ協奏曲 第2楽章から


やっぱり一番盛り上がったのが3のラコッツィ行進曲でした。(笑)
とにかくピアノの鍵盤をフル活用し、とてつも無く難しいアレンジに仕上がっているのですが、ヴォロドスにはまだまだ余裕さえ感じられ、最後はワルシャワで弾いた時とはまた違うアレンジをアドリブで入れているようでした。
さいたま芸術劇場のお客さんはとてもマナーが良いため、スタンディングオヴェイションは起こりませんでしたが、ヴォロドスご本人はとてもご満悦の表情。
胸に両手をあてる仕草はワルシャワでは見られなかった光景で新たなパフォーマンスでしょうか。(笑)

最後のマルチェッロが終わっても観客の拍手が鳴り止むことがなく、「もっと弾いて!!」とアピールしますが、会場が明るくなってしまい、残念ながらここで終了。

その後サイン会があったようで長打の列が。。。本当に全員にサインしたのだろうか・・・サインするだけで腱鞘炎になってしまいそうな数の人が並んでいました。

ヴォロドスさんお疲れ様でした、そして素晴らしい演奏をありがとう!!
今現在、世界的に見てもこれだけのピアニストはそういないと思います。皆様もいつかお聴きになることを強くオススメします。

思い出すとまだまだ興奮冷めやらないところですが、気づいたらこんな時間・・・
本当はもっと細かく語りたいのですがキリが無いので・・・

最後までお読みいただきありがとうございました。


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タグ : アルカディ・ヴォロドス彩の国中村紘子volodos

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